科学 · 2025.01.05 · COFFEE AND TEA LTD 読み物
焙煎の科学— 豆の中で何が起きているか
読了時間 · 約6分 · 文:伊藤 大輔(品質管理)
コーヒーの焙煎は、ただ「熱する」作業ではありません。豆の中で何百という化学反応が起き、風味·香り·色·テクスチャーが刻一刻と変化していきます。COFFEE AND TEA LTD では、その化学を熟知した上で、感覚と経験を組み合わせた焙煎を行っています。
3つの重要な反応
コーヒーの焙煎で重要な化学反应は、大きく3つに分けられます。
01 · 糖化 (150~180°C)
豆の中の糖分が熱でカラメル化します。甘い香り·アンバー色の始まり。COFFEE AND TEA LTD では、この段階を長くすることで、甘さの余韻を引き出します。
02 · メイラード反応 (140~200°C)
アミノ酸と糖が反応し、香ばしい風味と茶色い色素を生成します。COFFEE AND TEA LTD が最も重視する段階で、焙煎プロファイルの 70% がここで決まると言っても過言ではありません。
03 · ストレッカー分解 (200°C~)
アミノ酸が分解され、より複雑な香気成分 (アルデヒド·ケトン類) が生まれます。焙煎度が進むほど、チョコレート·ナッツ·スパイスの香りが深まります。
1回目のクラックと 2回目のクラック
焙煎の進行を示す指標が、「クラック」と呼ばれる豆が弾ける現象です。
- 1回目のクラック (約196°C) · 浅煎り~中煎りの終わり。豆がパチパチと弾け始めます。COFFEE AND TEA LTD の『蔵前』はここで焙煎を終了します。
- 2回目のクラック (約224°C) · 深煎りの始まり。より細かく、クリスピーな音がします。COFFEE AND TEA LTD の『夜想』はここで焙煎を終了します。
COFFEE AND TEA LTD の焙煎プロファイル
COFFEE AND TEA LTD の焙煎士は、豆の色·香り·音·温度 (BT: 豆温度·ET: 環境温度) を、リアルタイムでモニタリングしながら焙煎します。一つの豆に対して、何十種類ものプロファイルを試し、最も美味しいポイントを見つけます。
例えば、エチオピア·イルガチェフェなら·
- 投入温度 180°C
- 火力戻り 1:30~2:00
- 1回目のクラック 8:30
- 煎り止め 11:20 (BT 198°C)
…といった具合に、一杯のコーヒーの中に、科学と経験が凝縮されています。
焙煎士としての心得
COFFEE AND TEA LTD の焙煎士·伊藤は、こう語ります。「科学は、豆の中で何が起きているかを教えてくれる。でも、最終的に美味しいかどうかは、飲む人が決める。科学と感覚、その両方を大事にすることが、焙煎士の責任だと思っています。」
あなたの一杯が、ちょっと面白くなりますように。